

金木犀(キンモクセイ)の甘いかおりが
風にのって流れてくるあぁ秋だな
空を見上げると茜雲が
すさんだ心に
暖かい色が
なんだかほっとする
過ぎし日の
息子母さんと
三人で手を繋いで
歩いた遠い遠い日の事を
金木犀のにほい
もくせいの匂
この企画は、父親がガンとの闘病中でも「謳歌」する生き方を実践し、86歳まで誇りを持ちながら前進したことを伝えるために始まりました。彼の晩年には腎臓病、心筋梗塞、前立腺がんとの闘いがありましたが、謳歌の精神を貫き、その生き様を示しました。
この企画の目的は、父の詩や文章、彼との出来事を通じて、家族の絆や人生のあり方について示唆を提供することです。彼の「謳歌」するメンタリティは同じ病気を抱える人々やその家族にとって支持となり、勇気や力を与えるでしょう。この企画が多くの人々にとって励みや支えとなり、家族の絆を深める一助となることを願っています。
父は金木犀(きんもくせい)の花の香りがとても好きでした。
夏から秋へと季節が進んでいき金木犀の香りがしだすと、移ろいゆく季節のはかなさとともに深まりゆく秋の深まりの情緒を味わっていました。
晩年になり辛い闘病であるときでも、金木犀の花の香りがしてくると心がなごんでゆっくり旅にでも出かけたいと言っていました。
父にとって金木犀の花の香りは、特別な思い出があったようです。
父がまだ少年だったころ、戦後の動乱を生き抜きながらも様々な困難や苦労をのりこえてきました。
ときには心が荒むようなことがあっても、空に茜雲のあざやかな色をみると温かい希望の気持ちになって心がほっとしたそうです。
ボクにとっての金木犀の思い出はボクがまだ幼いころ、どこからともなくとてもいい香りが漂っていたので、その香りの元を探しているときに、「このにおいは金木犀の花だよ」と父が教えてくれました。
父が運転する車で兵庫県の有馬温泉でのことでした。
夕方になっていて、ひんやりとした空気に包まれていました。今でもよく覚えている記憶のひとつです。
当時のボクの背丈よりも大きな金木犀の花の香りを父と母と3人で顔を近づけて味わっていました。
父はこの金木犀の花の香りがとても好きだそうで、この花特有の甘くどこか高貴さのある香りがしてくると「あぁ、秋だなぁ…」としみじみと味わっていたそうです。
ボクが少年のころになると、父とよく車で里山にある野池や山の中にあるダム湖へ、ヘラぶな釣りに出かけていました。
秋になり金木犀の花の香りがただよってくると、必ずボクんの幼いころの、いい香りの元を探していたときのエピソードの話になりました。
「お母さんと3人で手をつないで歩いたなぁ・・・」
それは父にとっても季節の情緒あふれるよき温かい家族の思い出だったようです。
今では、ボクにとっても家族の平和なよき思い出の象徴となる大好きな花の香りとなりました。


